現状における課題認識

2013年10月(2013年度第2四半期終了時点)の課題認識

男女共同参画の視点を盛り込んだ防災の取り組みが急務であると言われています。防災計画の改訂時に、その文言を入れこんだ自治体も多いと聞きます。ただし、重要だという認識が広まった一方、その具体策までは検討されていないのが現状であるように思います。

それは”男女共同参画”という言葉の持つ印象、認知度の低さにあるのではないでしょうか?

「子育て層を対象とした防災だったら、管轄は子育てセクションですよ」。

「女性、女性というけれど、災害時には女性以外にも困る人がたくさんいるんですよ」。

 

ほかにも「男女共同参画の視点を盛り込んだ防災」のことを、「女性に配慮した防災」と考える人も少なくありませんが、女性はあくまでも共同参画する構成員の1つに過ぎません。子どもや高齢者、障がい者、外国人・・・そして、もちろん成人男性も・・・。いろいろな立場の人が対等な構成員として参画できる社会を防災の分野でも目指したいと考えていますが、”男女共同参画の視点を盛り込んだ防災”に対して持つイメージや問題意識には幅があります。

この共通の認識がない”男女共同参画”という視点は、防災事業を進めていく中で、1つの障壁となることもあります。

 

しかし、この障壁にぶつかることは、”男女共同参画型防災ネットワーク”を築く上でとても重要なプロセスだと考えています。1つひとつの障壁(課題)に対して、みんなで知恵を出し、解決していくこと。そのプロセス自体が”防災活動”であると思うからです。平時にできないこと、理解し合えていないことは、災害時に必ずトラブルの種となります。それは、過去の災害体験から明らかです。防災を進めていくことためには、単に防災の啓発をしていくだけではなく、この障壁としっかり向き合い解決していくプロセスを社会全体で体験していくことも不可欠なのです。

 

MAMA-PLUGの男女共同参画型防災は、子育て層を対象とした事業からスタートしました。そのため、「女性や子どもだけが助けが必要なわけじゃない」というご指摘を受けることもあります。それでもまずは「子育て層の防災」から始めたいと考えているのは、現在、防災の中心にいる層から、一番遠いところにある(想像しにくいポジションにある)のが、妊婦や乳幼児だと思うからです。避難所運営の責任者となる方々に、3.11時の母子の被災体験談をお話すると、「高齢者と障がい者のことを配慮した防災にすれば良いと思っていたけど、妊婦や乳幼児にもさまざまな困難があるんだね」という感想を頂くことも少なくありません。

さらに、出産・子育てを通じて、子育て中の女性の「成人になって初めて体験する社会にある困難」——たとえば、エレベーターのないホームで、長く続く階段を見上げた時の絶望的な気持ちになったことや、気分が悪くなった時に、社内で席を譲ってもらった温かな気持ちになった経験——は、災害用援護者という1つのカテゴリーに属するさまざまな方々の防災について考え、”男女共同参画型防災ネットワークを推進する大きな力になるのではないかと考えています。

 

実際、現在開講中の第1期ファシリテーター養成講座には、たくさんの子育て層が参加していますが、参加者が問題意識を持つ対象者層は、妊婦や乳幼児に留まりません。障がい者や高齢者を対象とした防災に取り組みたいと考え、参加したファシリテーターもいます。

第1期のメンバーで検討した、”男女共同参画型防災”について近々、広く配信したいと考えています。もちろん、そこから生まれた男女共同参画の視点は、あくまで視点の1つであり、それが絶対的な唯一の答えであるというわけではありません。専門家”からみれば、もしかしたら「あれが足りない」「これが足りない」と思えるものになるかもしれません。

 

それでも私たちの言葉として、しっかりと配信していかないといけないと感じるのは、防災についても、男女共同参画についても、専門家の言葉だけではなかなか社会に広まらないという現実があるからです。専門性の高さを追求しつつも、一般社会に普及しやすい言葉や方法論を用いた”男女共同参画型防災”を、アクティブ事業の参加者と一緒に築いていきたいと考えています。

2013年7月(2014年度事業提案時)の課題認識

防災講座や防災ピクニックを通じて痛感しているのは、子どもから大人まで”生きる力”が低下しているということです。整備された場所での運動や遊びに慣れた子どもたちは、河原の砂利道をうまく歩けなかったり、和式トイレをうまく使えなかったりします。子どもたちの運動能力の低下が問題視されて久しいですが、運動能力の”質”にも問題が生じていると言えるのではないでしょうか。

 

また、子どもだけではなく、大人も自分で考え行動することが少なくなってきました。
問題にぶつかった際に、自分で試行錯誤して解決法を探すよりも、正解探しに一生懸命になる傾向がありませんか?
たとえば、一般的な防災マニュアルが自分や家族の事情に会わない場合、自らの事情を勘案した備えをしようとするのではなく、専門家に正解を聞くまで防災アクションを止めてしまうという人も多くいます。

 

災害に対して、100%完璧な備えが不可能であると言われています。
”想定外”が予測される限り、突発的な状況にも適切に対応できる力が必要になってきます。

マニュアルにないことに対して、思考や行動を止めてしまうのではなく、自ら考え、自ら行動を起こす姿勢が重要です。防災に重要な”地域のつながり”の希薄化も問題です。自治会単位での防災訓練も活発とはいえず、地域との関わりの持ち方がわからないという方も少なくありません。

 

自助をしっかりと整えていくと、自助の限界が見えてくるため、自然と共助の必要性を感じるようになってきますが、防災講座やイベントを行うの中で「地域交流のきっかけがつかめない」「自治会の加入方法がわかならい」という声も多くあがっています。一方、これまで地域活動を支えてくださってきたシニア層からは「助けだけ求めて地域に貢献しない若い層も多い」「若年層が年上に歩み寄ってくるのが日本での常識」という声も聞かれました。両者が交流するきっかけとなる場づくりが急務であると感じています。

 

さらに、3.11での避難所運営や支援のあり方等の反省をふまえ、男女共同参画の視点を盛り込んだ防災の取り組みが求められているものの、どのように取り組むべきか悩んでいる自治体や自治会も少なくありません。防災事業を行う中で、地域の異世代、異業種交流を促すような企画を盛り込むことが重要です。
交流により、自分とは異なる事情を持つ人のことを知り、相手を理解しようとすることこそが、男女共同参画の第1歩となると考えています。

2012年7月(本事業提案時)の課題認識

神奈川県が行った、県民ニーズに関する調査では、「地震、台風、火災等への対策が十分に整っていること」について重要だと考える人が9割に上ったのに対して、現状に満足していると答えた人は3割に留まっていました。実際には神奈川県でもさまざまな防災の取り組みが行われており、それらの防災情報が住民に十分伝わっていない可能性があると考えました。

 

防災は、自助・共助・公助の連携が重要です。

このどれか1つが欠けても、尊い命や生活、子どもたちの未来を守ることができません。

自助・共助・公助の連携を強める地域防災ネットワーク作りが重要だと考えました。

 

一方、この調査では、「数日分の防災の準備ができている」と回答した人が47%に留まりました。NPO団体が3.11後に行った意識調査でも、「地域の防災訓練に参加したことがない」と答えた人が8割と、残念ながら自助・共助に対する意識が現状では低いという結果が出てしまいました。

 

これらの調査からも浮き彫りになった、神奈川県内にある平均的な防災意識、それは……

「十分な災害対策を希望し、現状には決して安心していない(満足していない)のだけど、自分から積極的には取り組まない」という行政任せの姿勢になっている防災意識です。

 

自然災害は避けることができなくても、被害を最小限に留めることはできます。「子連れ防災手帖」の制作時に、たくさんの「もしも……」があったことを痛感しました。最悪な状況の中で、被害を最小限に留めるために必要なのは、”災害に対する備え”であり、”率先した避難行動”であることは、周知の事実です。

 

にも関わらず、防災の取り組みが活発にならないのはなぜか?

防災が進まない原因を分析し、その原因を取り除いた防災活動の啓発が急務であると考えました。

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